総務省がモバイルキャリアから発売されるスマートフォンのSIMロック解除化の義務付けを進めています。まだ正式に決まったわけではありませんが、来年度を目処にSIMロック解除の義務化をスタートさせる予定のようです。
この動きに触発されたのでしょうか。あるいは格安スマホの登場も重なったことによる影響でしょうか、現在「SIMフリー」と呼ばれるタイプのスマートフォンへの注目度が高くなってきています。
総務省のSIMロック解除が義務化される前から、すでに日本でもSIMフリースマートフォンはEXPANSYSなどの海外スマホ販売店などから多様な種類から選んで購入することが出来ます。Xperiaのミドルレンジモデルや、HTCやGalaxyの小型版など、日本では販売していない海外向けのスマートフォンを購入することができます。
しかし、こうしたSIMフリースマートフォンを購入していざ使おうとした場合、Wi-Fi運用ならば問題はないのですが、SIMカードを差して使おうとした場合は「あること」の知識がないと満足に使えないという問題が起きてしまいます。今回はこのあることであるSIMフリースマートフォンの「対応周波数」についての知識を解説していきたいと思います。
SIMフリースマートフォンの基本的事項
SIMフリースマートフォンをSIMカードを入れてキャリア回線で使おうとした場合、「対応周波数」の対応状況が快適に使えるかどうかの分水嶺になります。ただ、まずはこの問題に触れる前に、SIMフリースマートフォンの基本的な事項について紹介しておきましょう。それは・・・
auの回線では3Gに対応しておらず、ほとんど使い物にならない
ということです。auの回線は通信の方式がCDMA2000という世界的に見ると珍しいタイプの通信方法を使っています。そのため、グローバルに販売されているSIMフリースマートフォンでは、この通信方法に対応するスマートフォンがほとんど売られておらず、auの回線では使えないのが基本的に今の現状です。
3Gは使えませんがLTEは使えます。といってもLTEだけで通信する場合は最低でも対応周波数が2つ以上あることが望まれますが、こちらもグローバル展開しているSIMフリースマートフォンが都合よくauのLTE回線の周波数に2つ以上対応しているということはほとんどありません。ですので、SIMフリースマートフォンをauの回線で使うという方法は無謀とも呼べるやり方であり、もうau回線ではSIMフリースマートフォンは使えないと覚えてしまったほうが手っ取り早い状態なのです。
SIMフリースマートフォンは3GとLTEが使える可能性があるdocomoとSoftbankの回線で使うのが基本で、対応周波数からどちらの回線により対応しているかで利用回線を決めるというのが基本になります。
SIMフリースマートフォンを購入する時にチェックすべき点:対応周波数
一応auではほとんどSIMフリースマホの恩恵は得られないということを確認したので、改めてSIMフリースマートフォンの購入にあたって、知識をつけておかないといけない「対応周波数」について確認しておきましょう。
docomoやSoftBankにはそれぞれ使える電波の周波数が決められていて、それに対応した周波数が使えるスマートフォンをメーカーに作って貰っています。この周波数の対応数が多ければ多いほど、使えるエリアが広がり、圏外になりにくくなります。逆に対応している周波数が少ないと、変な場所で圏外になって使えなくなるなんてことがあります。
そのため、SIMフリースマートフォンではスペックの高さなど自分の気になる点を調べるのも大事ですが、どれだけの周波数に対応しているかもチェックしないと、通信は出来ることはできるけどもちょっと賑わっているところから離れると圏外になってしまうスマートフォンになってしまう可能性があります。
docomoの周波数
ここでは、SIMフリースマートフォンの周波数を調べるために、まずはキャリア回線の対応している周波数を抜き出してみましょう。
- 3G:800MHz/2100MHz
- LTE:(700MHz)/800MHz/1500MHz/(1800MHz)/2100MHz(Band1,(3),19,21,(28))
SoftBankの周波数
- 3G:1500MHz/2100MHz
- LTE:900MHz/1800MHz/2100MHz(Band1,3,8,(11))
カッコ内のはまだ展開していない、エリアが狭いものです。
たまにSIMフリースマートフォンには、GSMという表記で周波数が書いてあることがあるんですが、これはほぼ日本では使われていない周波数ですので、この表記は無視していいです。対応周波数を調べるときは、このdocomoとSoftBankの3GとLTEの周波数にどれだけ対応しているかをチェックしましょう。
例えばSIMフリースマートフォンの対応周波数を調べてみると・・・
それではこのそれぞれのキャリアの周波数と、SIMフリースマートフォンで周波数の対応状況を見てみましょう。例にとるのは現在ハイスペックファブレットとしては異例の安さで売られているXperia Z Ultraです。
このXperia Z Ultraで利用できる周波数は以下の通りです。
- LTE Bands: 1/2/3/4/5/7/8/20 /
- 3G: 850/900/1700/1900/2100 MHz /
- GSM: 850/900/1800/1900 MHz
黒の太字がdocomoとSoftbankで利用できる周波数です。青がSoftbankだけで使える周波数です。
単純な周波数が対応している数を比べると、docomoよりもSoftBankの方が上になっています。3Gの対応周波数がどちらも一つしかなく、SoftBankのほうが3Gエリアが狭いため、速度は遅くても圏外になりにくいのはdocomoの回線で使った場合でしょう。LTEだけだとSoftBankのほうが対応できる場面は増えるかもしれません。
このようにSIMフリースマートフォンの対応周波数とdocomoやSoftBankの持つ周波数を対比させることで、そのSIMフリースマートフォンが日本においてどこまで快適に通信できるのかがわかります。今回例にあげたXperia Z Ultraでは、docomoでもSoftBankでも対応しており、どちらも対応周波数が多いというのがわかります。
SoftBankの場合は現時点でMVNOが無いので、MVNOのあるdocomoの格安SIMで使えるかどうかが一番重要な問題かもしれませんが、こうした基本的な周波数についてのスマートフォンとキャリア回線の関係を知っておけば、SIMフリースマートフォンの購入時により正確にその機種の価値が読み取れるかと思います。
まだまだ初歩的な知識ですが、この点を知っているだけでSIMフリースマートフォンを選ぶ際には大きな違いを把握することが出来るので、面倒がらずにぜひ覚えておいて下さい。
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